事故に気づかず走り去る ひき逃げで書類送検

今年9月、東京都世田谷区内の都道で発生した死亡ひき逃げ事件について、警視庁は11日、埼玉県寄居町内に在住する44歳の男を自動車運転過失致死や道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で書類送検した。「事故には気づかなかった」と容疑を否認している。

警視庁・交通捜査課によると、問題の事故は9月14日の午前9時55分ごろ発生している。世田谷区千歳台付近の都道(環状8号線)で、単独転倒したバイクを運転していた30歳の男性が路上を滑走し、前にいたトラックの車体下に潜り込んだ。

トラックは後方での事故に気づかずに発進。男性は後輪で踏まれる状態となり、全身強打で死亡したが、トラックはそのまま逃走したため、警察は死亡ひき逃げ事件として捜査を開始していたが、目撃情報などから車両を特定。トラックを運転していた男から自動車運転過失致死や道交法違反容疑で事情を聞いていた。

男は「何かを踏んだような感触はあった」と供述したが、その一方で「バイクが衝突したわけではないし、後方で起きた事故には気づかなかった」とも供述していた。

警察では「事故は予見不能だった」としながらも、「異常な感触を覚えた時点で、車両をチェックしなかったことに過失がある」として、男をひき逃げ容疑で書類送検している。

検察 懲役6年求刑 鳥取・強盗致傷事件

◆県内2例目 裁判員、質問なし

 鳥取市内のスーパーで弁当を盗み、逃げる際に店の保安員にけがをさせたとして強盗致傷の罪に問われた同市古海、鉄骨業井上礼記被告(35)の裁判員裁判が15日、鳥取地裁(小倉哲浩裁判長)であった。裁判員裁判は県内2例目。検察側は懲役6年を求刑した。(倉富竜太、中村瞬)

 起訴状によると、井上被告は8月9日午前11時半ごろ、鳥取市湖山町北6丁目のエスマート湖山店で弁当2個を盗んだのを保安員の男性に見つかり、軽乗用車で逃走。運転席の窓枠にしがみついた保安員を路上に転倒させて、軽傷を負わせたとする強盗致傷罪に問われた。

 裁判では、裁判員候補の73人に呼び出し状を送り、事前に辞退が認められた人などを除く42人が鳥取地裁に足を運んだ。その中から女性1人と男性5人の裁判員と男性2人の補充裁判員が選ばれた。

 井上被告はグレーのスーツ、青色のネクタイ姿で出廷。「間違いありません」と起訴事実を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、井上被告が保安員の両手を車の窓ガラスに挟んだまま約600
メートル走行した様子を身ぶり手ぶりを交えながら再現し、危険性を指摘。弁護側は、けがを負わせたのは偶発的で計画性はなかったと主張した。

 被告人質問では「車にしがみつくという状況を危険だと思わなかったのか」という弁護側の問いに対し、井上被告は「けがをしたら大変だと思い、時速20~30キロメートルで走った」と説明した。検察側が「車を停車させようとは思わなかったのか」と尋ねると、井上被告は「その時は思わなかった」と答えた。裁判員の質問はなかった。

 その後の論告で検察側は「万引きをし、捕まりたくないために逃げようとした動機は身勝手で同情の余地はない」と指摘。「危険を回避する意図はなく、被害者に与えた恐怖感は想像に絶する」と懲役6年を求刑した。一方、弁護側は最終弁論で「振り落として対向車にひかれる危険を回避するため、途中で交通量の少ない脇道に入っている」などとして執行猶予付きの判決を求めた。

 裁判はこの日で結審し、16日午後3時から判決が言い渡される。

先人に学ぶ 田舎の底力

君津市市宿で13日、地域と市外の老若男女が集って、餅つきを楽しみ、食べ、踊り、語った。交わりと工夫の中に地域の活力を育む「芽」が潜んでいることを示す集いになった。

 同地区は県立中央博物館の房総の山のフィールドミュージアムで、「おばあちゃんの畑」プロジェクトに取り組んでいる。稲作にあまり適していない丘陵地で、知恵と工夫をこらして収量を増やそうとしてきた先人たちに学ぼうという活動だ。

 市宿自治会とおばあちゃんたち、地域活性化を目指す「宿場の風の会」が「集落に餅つきの音が響いた昔を思い出し、年末のひとときを楽しもう」と企画した。

 約100人が参加し、30キロ分の蒸し上げたもち米を、8回に分けてついた。就学前の子どももきねを持った。もち米の品種は「マンゲツモチ」。地区の住民が総出で作った。

 ついた餅は大根おろし、ゴマ、「えーなり(やえなり)」と呼ばれる緑豆のあんをまぶして食べた。どれも市宿の田畑で育てられた。滋味が深い。野菜たっぷり、みそで味付けした、肉以外は地元産の「宿場鍋」の雑煮は、餅のきめが細かくつるっとのどを滑る。

 スーパーで求める大量、単一生産された味とは微妙に違う、昔ながらの品種と栽培による深い味わい。そんな感想が聞かれた。

 今は作る人もいない稲の品種「愛国」「関取」「千葉旭」「上総こぼれ」「神力」と、うまさで人気の「コシヒカリ」の食べ比べもあった。意外だったのはコシヒカリで、なぜか人気投票では5位だった。

 多くは味や量、栽培技術、収穫の面倒さなどを理由に消えていった品種だが、生育期をずらした稲作で、天候不順などへの「保険」にしていたことや、集中する農作業を分散させていたことも分かる。

 「市宿は宝物がいっぱい」。こんなトークショーもあった。中央博物館上席研究員の島立理子さんの司会で、友人の元電通CMプランナーの中園順子さんが、参加者と掛け合う形で進んだ。

 「集団就職時代とは逆の田舎を目指す流れが出ている。田舎には底力がある。おばあちゃんは救世主です」と中園さん。受ける形で鴨川市に移住した若者が「助け合って生きている」と実体験を語った。

 地元からは「田舎には職場がない。暮らせないから都会に出る」との悩みが出た。

 世間で吹き始めている風の動きと地元の現実。結論は出なかったが、世話役の市教育委員の木曽野正勝さんは「地域を元気にするヒントと方向性を含んでいる内容で、いい刺激になった」と語る。

 市宿に潜む活力をよみがえらせようと取り組んでいるのが「畑」プロジェクトだ。

 肥料は乏しく農薬もない時代に、時期と場所をずらして栽培することで食べ物を確保した先人の工夫を学ぶ。味はいいのに作られなくなった作物に挑むことで、地域が秘めている力を探す。

 プロジェクトはそんな工夫を重ねる。島立さんは「今後はワラの扱いや、年中食べられるよう工夫したお茶請けなどの加工を教えてもらって継承し、記録したい」と話している。
(高山修一)

深夜の“製氷”スケートリンク作業大詰め 東京・としまえんで

 東京都練馬区の遊園地「としまえん」では、東京都最大級の屋外スケートリンク(縦42メートル、横24メートル)の散水氷結作業が大詰めを迎え、夜通しの作業が続いている。

 リンクの下にアイスパネルを敷き、マイナス13度の不凍液を常時循環させる。氷の厚さが8センチほどになるまで散水と乾燥を毎晩続け、現在は5センチ弱。今シーズンはバンクーバー冬季五輪が開催されるとあって、19日のオープンを前に、問い合わせが相次いでいるという。

 リンクはフィギュアスケートの国際大会が行われた代々木体育館や長野ビッグハットと同じ工法で作られており、本格的な滑りも堪能できる。

高齢者の転倒 原因探れ

高齢者に多い転倒事故の原因を探ろうと、京都府亀岡市の篠町自治会が立命館大などと協力し、高齢者の運動能力を科学的に分析する調査研究をこのほど始めた。同大学が開発した計測器を身に着けて生活してもらい、歩行時のバランス感覚などを測定する試みで、転倒予防体操の効果検証などにも役立てる。

 高齢者の転倒事故は太ももの骨折などを伴いやすく、寝たきり生活につながるケースも多い。部屋のわずかな段差につまずくなど運動能力の低下が要因とされるが、通常の身体測定や検診では、歩行時など運動中の姿勢や体の動きが把握できなかった。

 同自治会は、府南丹保健所と協力して毎月1回、60歳以上の住民を対象に転倒予防体操を取り入れた健康教室を開いている。体操の効果検証も兼ね、科学の目で高齢者の運動能力を調べることにした。

 今月3日に第1回の測定を行い、24人が参加。塩澤成弘・立命館大経営学部准教授の開発した歩数計型の測定器を腰に着け、いすからの立ち上がりや、速足歩行、段差をまたぐ障害物歩行などの動作を行い測定した。参加者には引き続き測定器を着けたまま生活してもらい、家事や買い物など日常生活でどれくらい体を動かしているかを調べる。

 測定器のデータを分析すれば歩行時の筋力や体のバランス感覚が分かるといい、塩澤准教授は「加齢による運動能力の変化に応じた転倒予防プログラムの開発などにつなげたい」と話している。

消費者庁、医療事故17件を公表せず 9月の発足以降

消費者庁が同庁発足後、厚生労働省から通知された医療事故17件を一切公表していないことがわかった。同庁は患者のプライバシー保護などを非公表の理由に挙げているが、国立や大学病院での医療事故は別の機関がすでに公表しており、同庁も公表に向けた検討を始めた。

 各省庁は、製品やサービスが安全性を欠き、死亡や全治30日以上の重傷、火災などを伴う重大事故を起こした場合、消費者安全法に基づいて、消費者庁に通知している。経済産業省は製品事故、国土交通省は乗り合いバスでの転倒や都市公園での遊具事故、文部科学省は学校での遊具事故などの通知が義務づけられている。消費者庁は原則水曜日に過去1週間の受け付け分を公表している。

 同庁によると、同庁が発足した9月から11月に通知を受けた重大事故は157件。このうち厚生労働省から寄せられた病院での医療事故は17件あった。手術中の事故や院内での転倒事故が中心だったが、事故の内容や被害の程度はもちろん、発生日や病院のある都道府県、公立病院か私立かに至るまでまったく明らかにしていなかった。消費者事故の現状について確認するため、同庁が10日に非公開で開いた省庁間会議でも、医療事故だけが重大事故の一覧表から外された。

 同庁消費者安全課は「患者の個人情報保護の観点や、因果関係の判断が難しいため、原則非公表としてきた」と説明している。

 しかし、大学病院や国立病院など270施設で起きた医療事故については、財団法人・日本医療機能評価機構(東京)への報告が義務づけられており、2008年に報告があった約1400件については、事故内容や被害の程度などが報告書などで公表されている。

 福島瑞穂・消費者担当相は11日の閣議後会見で、医療事故の公表について「検討したい」と前向きな考えを示した。(茂木克信)

加藤、長島ら5人の代表内定…五輪スケート

 【ソルトレークシティー(米ユタ州)=畔川吉永】日本スケート連盟の鈴木恵一・スピード強化部長は13日、バンクーバー五輪代表内定選手を発表した。

 鈴木部長は男子500メートルなど有望種目を挙げ「(五輪では)メダル4つが目標」と話した。

 内定選手は次の通り。

 【男子】▽500メートル 加藤条治、長島圭一郎(ともに日本電産サンキョー)

 【女子】▽500メートル 小平奈緒(相沢病院)、吉井小百合(日本電産サンキョー)▽1000メートル 小平、吉井▽3000メートル 穂積雅子(ダイチ)

(2009年12月14日09時02分 読売新聞)

足挟んだままバス発車 70歳代女性重傷

佐世保市営バスの男性運転手が7日、同市島瀬町の停留所で、乗車しようとした女性の足をドアに挟んだままバスを発車させ、足首を骨折する重傷を負わせていたことがわかった。佐世保署は自動車運転過失傷害の疑いで調べている。

 佐世保市交通局や同署によると、7日午前9時10分頃、同市島瀬町の島瀬停留所で、同市の女性(70歳代)がバスに乗り込んでいたところ、運転手(50歳代)がドアを閉め、女性の右足を挟んだまま発車した。

 直後に足は抜けたが、女性は転倒し、左足首を骨折する3か月のけがを負った。後続のバスの運転手が気づき、営業所を通じて同署に通報した。運転手は数分後、乗客に「女性が倒れていた」と知らされ、乗客をバスから降ろして現場に戻ったという。

 同局の聞き取りに対し、運転手は「(乗客がいないか)目視で確認したが、女性に気付かなかった」と話しているという。運転手は現在、緊急時にのみ乗務するとして内勤をしており、事故後は一度も乗務していないという。

 市交通局の清水一則理事は「大変申し訳ない。乗り降りの際の確認を徹底するよう指導している」と話している。

(2009年12月11日 読売新聞)

強制わいせつ致傷、懲役3年判決 裁判員裁判

 女性に暴行を加えてわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ致傷罪などに問われていた岐阜市六条江東、とび職徐康次被告(27)の裁判員裁判の判決公判が10日、岐阜地裁であり、田邊三保子裁判長は懲役3年(求刑懲役4年)を言い渡した。

 徐被告は、本件の裁判員裁判から公判を分離した別の強盗強姦(ごうかん)罪などにも問われている。田邊裁判長は量刑理由で「このような事情(同種の犯行)は無視することはできず、常習的犯行の一環といえる。犯罪傾向は進みつつあった」などと判断。「執行猶予とすることも、法定刑の下限を下回る刑で処断することも相当でない」と実刑の理由とした。説諭では「裁判員と裁判官が、頭と心を合わせて結果を出しました」と話した。

 判決によると、徐被告は昨年8月、同市内の路上で女性=当時(15)=に暴行を加えて転倒させ、胸を触るなどし、頭部打撲で全治約1週間のけがを負わせた。

説諭 裁判員の声反映

地裁で審理の傷害致死事件
      ~被告に猶予判決

 京都地裁の裁判員裁判は10日、傷害致死罪に問われた大工福吉恒志被告(31)=西京区=に対し、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。宮崎英一裁判長は「尊い人命が失われた結果は重大だが、偶発的犯行で遺族の処罰感情も厳しいものではない。社会で更生する機会を与えることが相当だ」と述べた。

 裁判員と裁判官による評議が長引き、判決言い渡しは予定より約1時間20分遅れた。 判決によると、福吉被告は02年9月30日、西京区の路上で、沢辺富さん(当時55)の顔面を1回殴り、転倒させて脳挫傷などを負わせ、同年10月3日、死亡させた。

 宮崎裁判長は、福吉被告が約7年間事件の真相を隠していたことなど、量刑を決める際に考慮した事情を説明。事件隠しについて「勤務先が口止めを指示したことを考えると、大きく考慮することはできない」と説明し、福吉被告が反省していることなどを併せて刑を酌量したと述べた。

 宮崎裁判長は最後に「身内を失った遺族があなたのことを考え、沢辺さんがのこした大工道具をあなたに、と言っている。自分がその道具にふさわしいか常に考えて使って欲しい」と説諭した。

 判決後、裁判員と補充裁判員計8人全員が記者会見に出席。50代の会社員、嶋谷強さんは「議論が伯仲した結果、評議の時間が自然と延びた」と説明。説諭の内容は裁判員の意見として要望したもので「被害者の道具を見ることで、事件のことを思い出してほしいという思いを込めた」などと話した。