フィギュアのジャンプ規定を変更 浅田、高橋らに追い風

【ロンドン共同】国際スケート連盟は6日、フィギュアのルール変更を発表し、浅田真央(中京大)が武器とするトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や、男子で高橋大輔(関大大学院)らが跳ぶ4回転ジャンプの基礎点を引き上げるとともに、回転不足と判定されたジャンプでも基礎点の70%を与えることになった。高難度の技への挑戦を評価する狙い。

 基礎点は3回転半で8・2から8・5に、男子で最も多くの選手が跳ぶ4回転トーループは9・8から10・3に増え、転倒や着氷の乱れによる減点幅も狭まった。

 回転不足は新たに2段階で判定し、1/4~1/2回転足りないものは基礎点の70%を与え、1/2回転以上足りないものは、これまでと同様に1回転少ない基礎点となる。3回転半の場合、これまでは成功と紙一重でも2回転半の基礎点3・5に激減したが、新規定では6・0になる。

段差舗装 賛否二分

◆「多摩川サイクリングロード」に調布市設置

 多摩川沿いの河川敷を通る通称「多摩川サイクリングロード(多摩サイ)」で調布市が新たに設けた段差舗装が議論になっている。歩行者との接触事故が絶えないため、自転車の速度を抑制しようと3月下旬に設置された。歓迎の声が上がる一方、自転車愛好家らは反発。調布市も「本来はマナーの問題だが、何もしないわけにはいかない。苦肉の策」と強調する。
(杉浦幹治)

 4月下旬、借りた自転車にまたがり、現場に行ってみた。高さ2センチ、幅10センチの段差舗装が2メートルおきに連続5段あった。実際に自転車で乗り越えると、前カゴに入れたカメラバッグが飛び出そうになる。ただゆっくりこぐと衝撃は小さい。こうした段差は、調布市多摩川4~7丁目の約1キロに8カ所設けられた。費用は180万円という。

 多摩サイは、大田区から羽村市あたりまでの多摩川沿いの道。自動車が入らず、眺めもいいため、都内外から利用者が集まる。特に土日は、自転車やランナーのほか、散歩の高齢者やピクニックの親子などでにぎわう。

 競技用の自転車が走ることも珍しくない。散歩していた男性(84)は「数年前は速い自転車はたまにしか見なかった。最近は時速40キロぐらいのスピードで歩行者の間を縫うように走っていく」と話す。

 段差舗装は、昨年6月に多摩サイの府中市側で起きた死亡事故がきっかけだった。自転車が歩行者にぶつかり、歩行者が亡くなった。府中市は自転車の速度抑制のため、高さ数ミリの段差舗装をしていたが、それでも事故は起きた。

 調布市道路管理課によると、07年1月から09年3月までに市内の多摩サイで起きた事故は19件にとどまるものの、「これは氷山の一角。『危ない』などの苦情も月数件ある」という。調布警察署とも相談し、「他に例を聞かない」という高さ2センチの段差を付けることにした。

 世田谷区で自転車用の服の企画を行っている藤原敏洋さん(29)は段差に批判的だ。「パンクや転倒を起こしかねない高さ。逆に危なくなった」と訴える。藤原さんは月に1回程度、多摩サイに通っているが、「車いすやベビーカーも通るのに、その人たちも締め出す措置だ」と怒る。

 一方で歓迎する声もある。近くで自転車屋を営む石坂正一さん(63)は「我が物顔で飛ばし、歩行者に『どけ』と怒鳴る。怒って画びょうをまいた人もいた。段差はやむを得ない」。

 河川敷のグラウンドで少年野球の指導をしていた男性(45)は「河川敷のグラウンドには子どもも大勢来る。自転車には注意させているが心配だ」と話す。その上で、今回の措置に対しては「実際には、自転車は段差の脇を通っていくので効果が薄いように見える。うまくすみ分けられないだろうか」と疑問を投げかける。

安心・安全ナビ:強風が吹きやすい春。我が身を守るには。

◆強風が吹きやすい春。我が身を守るには。

 ◇範囲狭いが軽視禁物 台風並み威力の場合も
 ◇低気圧接近…注意報、警報に注意を
 「春の嵐」という言葉があるように、春は強風が吹きやすい季節。しかし、台風のように広い範囲に被害をもたらすことが少ないこともあり、その脅威は軽視されがちだ。

 3月20日、北九州市内の無人有料駐車場で、女性が首から血を流して倒れているのが見つかった。この日の同市の最大瞬間風速は23・5メートル。女性は強風で壊れた料金支払機の屋根に直撃され、死亡したとみられている。

 また、4月2日には千葉市で最大瞬間風速32・9メートル、東京都江戸川区で同28・4メートルを観測するなど、関東地方南部を中心に強風が吹き荒れた。空の便に欠航が相次ぎ、鉄道のダイヤも大幅に乱れた。神奈川、千葉両県のまとめによると、転倒や飛散物にあたるなどして計30人以上がけがをしたという。

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 春の強風というと、春一番が真っ先に思い浮かぶ。気象庁によると、春一番は日本海を発達しながら通過する低気圧に向かって、南から暖かい空気が流れ込んで起きる。春に起こる強風のメカニズムは基本的に、春一番と同じだという。春一番は元々漁師などに恐れられていた風で、言葉が生まれた場所との説がある長崎県壱岐市によると、16世紀後半に漁師53人が春一番とみられる強風で犠牲になった記録が残っているという。

 強風災害の調査などを行う有識者の集まりである風災害研究会がまとめた「瞬間風速と人や街の様子との関係」によると、瞬間風速10メートルで傘がさせず、樹木や電線が揺れ始める。同20メートルで転倒する人が出始め、看板やトタン板が外れ始める。同30メートルになると、何かにつかまっていないと立っていられず、屋根瓦が飛散したり、自転車置き場などのひさしが変形する。

 同研究会の会員で、九州工業大の木村吉郎准教授(風工学)は「瞬間風速20~30メートルの風は、大型のテントを20トン以上の力で浮き上がらせることもある」と指摘する。同研究会は風の脅威を広く知らせるため、風災害に関する防災フォーラムを開いているが、木村准教授は「被害を受ける場所が限定的なためか、怖さをあまり意識していない人が多い」と感じるという。

 気象庁天気相談所は「気圧配置を見れば、早い段階から強風が吹くのは予測可能。春の嵐は3~4月が中心だが、メイストーム(5月の嵐)という言葉もある。強風注意報(おおむね平均風速10メートル以上)や暴風警報(同20メートル以上)に注意を払ってほしい」と呼びかける。木村准教授も「気圧配置によっては、春でも台風並みの強風が吹くこともある。とにかく被害に遭わないためには風を甘く見ないことだ」と訴えている。【飯田和樹】