JR水戸駅エスカレーター転倒事故:危ない認識なく 利用客ら不安げな表情 /茨城

3月8日13時1分配信 毎日新聞

 日常使う乗り物で大きな事故が起きた。水戸市のJR水戸駅構内で6日夜、阿見町のJA職員の女性(57)が、首に巻いていたストールなどが上りエスカレーターの踏み板が収納される部分に挟まれ、意識不明の重体になった。駅の利用者らは「危ないという認識はなかった。心配だ」と表情をこわばらせた。
 JR東日本水戸支社によると、エスカレーターは日立製で、04年8月に設置された。踏み板が持ち上がるなどした場合に安全装置が働いて非常停止する。しかし、今回ストールなどが巻き込まれた踏み板が収納される部分については「物が入らない構造になっている」といい、今回は駅員が止めるまで停止しなかった。
 事故があったエスカレーターは、常磐線の上り特急と鹿島臨海鉄道大洗鹿島線が発着する7番ホームの中ほどに、下りと2基並んで設置されていた。白い壁に囲まれたエスカレーターを2階に上がると、右手に駅員が立つ中間改札口がある。
 事故から一夜明けた7日、駅では通常通りエスカレーターを運行。子供連れで構内を歩いていたひたちなか市の岸恵美さん(37)は「ストールは毎日のように巻いているが、そんなことでけがをしてしまうのか。エスカレーターが危ないという認識はなかった。幼い子どもを連れているので心配だ」と不安げに語った。千葉県柏市の会社員男性(61)は「機械には100%の安全がない。人が多いところで乗るとか、1人で乗らないよう気をつけなければ」と話した。
 東京消防庁によると、07年に東京都内のエスカレーターで事故に遭った人は1238人。事故の場所は「駅」が772人で最も多く、次いで「デパート・マーケット等」が373人で、この二つで9割以上を占める。原因が分かっている665人についてみると「飲酒後利用中に転倒」が154人で最も多い。次が「乗降時に転倒」の152人だった。同庁は「挟まれ防止に、ステップの黄色い線の内側に乗ってほしい」と話す。
 エスカレーターを巡っては、07年に樹脂製サンダルを履いていた人が、サンダルごと足を巻き込まれる事故が少なくとも65件発生し、社会問題化したことがある。【山崎理絵、扇沢秀明、青島顕】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA