スケート 寺尾5大会連続12回目の総合V 全日本選手権

12月21日19時47分配信 毎日新聞

 スピードスケート・ショートトラックの世界選手権(来年3月、ウィーン)などの最終代表選考会を兼ねた第32回全日本選手権は最終日の21日、大阪・なみはやドームで男女の千メートルと三千メートルが行われた。男子は寺尾悟(トヨタ自動車)が千メートル1位、三千メートル3位で、5大会連続12回目の総合優勝。総合5連覇は史上5人目(男子2人目)で、自身の最多優勝記録を更新した。女子は伊藤亜由子(トヨタ自動車)が千メートル、三千メートルとも制し、初の総合優勝。前日まで総合首位の桜井美馬(早大)は千メートル準決勝で転倒して敗退、三千メートル6位で総合3位にとどまり、総合2連覇を逃した。

 ◇無欲で臨み2冠達成…22歳・伊藤

 関係者の誰もがほれ込んだ素質が、開花し始めた。高卒4年目の22歳・伊藤がこの日2冠を達成。前日までの総合4位から大逆転で新女王に輝いた。

 得意の千メートルは「抜く技術はないが、スピードには自信がある」と終始先頭で飛ばし、逃げ切った。苦手の三千メートルは逆に後方待機策を取り、残り2周でスパートして逆転。「足(の力)をためて、前方がペースダウンした時に自分のスピードを生かす」という作戦が当たった。前日は最も得意な五百メートルで4位に沈むなど出遅れたが、この日は「優勝は意識せず、自分の滑りをしよう」と無欲で臨んだことが奏功した。

 静岡・浜松工高2年で世界選手権に出場したが、トリノ五輪はけがなどで代表落選。川上隆史・日本スケート連盟前ショートトラック強化部長は今でも「トリノに伊藤を連れていきたかった。スピードのある彼女がいれば、リレーでメダルを狙えた」と悔しがる。今年7月就任の金善台(キム・サンテ)・日本代表コーチの指導により練習量が増えた今季、持ち味のスピードと体力がさらに向上し、苦手だった長距離も強くなった。

 金コーチも「亜由子には五輪の全種目に出てほしい」と大きな期待を寄せる。バンクーバー五輪のエース候補は、前回女王の桜井だけではない。【来住哲司】

 ○…前日まで総合首位の藤本を逆転し、総合5連覇を飾った寺尾は「僕はあまり総合優勝は狙っていなかった。勝てたのは経験と底力」と無欲の勝利を強調。千メートルでは残り半周で先頭の藤本を外から抜き、勝負勘の鋭さを改めて示した。33歳のベテランは伸び悩む若手に物足りなさも感じており、「僕のピークは確実に過ぎている。僕を早く(現役から)追い出してほしいよ」と奮起を促した。

 【男子】▽千メートル (1)寺尾悟(トヨタ自動車)1分29秒413(2)高御堂(同)1分29秒589(3)藤本(セルモ)1分29秒594▽三千メートル (1)高御堂雄三(トヨタ自動車)4分58秒425(2)角張(サンコー)4分58秒448(3)寺尾4分59秒028▽総合得点 (1)寺尾81点(2)藤本76点(3)高御堂68点

 【女子】▽千メートル (1)伊藤亜由子(トヨタ自動車)1分32秒735(2)小沢(サンコー)1分32秒816(3)貞包(順大)1分32秒825▽三千メートル (1)伊藤5分21秒368(2)貞包5分21秒584(3)小沢5分21秒605▽総合得点 (1)伊藤89点(2)小沢76点(3)桜井55点

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA