建設経済研究所レポート 建設市場からの「退出」支援の必要性など指摘

 「建設産業の供給過剰構造を是正するため、建設市場からの『退出』支援策が必要である」―。建設経済研究所は25日、こんな提言を盛り込んだ建設経済レポート「混迷する日本経済と建設産業の今後」を発表した。拡大する建設業の需給ギャップや多発する倒産などの動向などを分析した上で、今後の建設業の在り方を幅広く示す内容となっている。
 レポートの一つ「地域経済と建設業」の中では、建設業の倒産状況を把握するため同研究所が全国6カ所の建設業協会を対象に実施したヒアリング調査の結果を基に、建設業の現状と展望を探った。
 それによると、最近の業況と競争環境については「(建設)産業の過剰供給構造が過度な低価格競争を招いて、業界を疲弊させている」「一般競争入札の実施によって採算割れ工事が恒常化してから、業況の悪化が著しい」といった声が目立った。また資金繰りや金融機関との関係をめぐっては、「過当競争で財務基盤が疲弊しきっているので、債権が焦げ付くとすぐに倒れてしまう。地元の金融機関も積極的に支援しなくなっている」などの声が寄せられた。
 こうした現状の打開に向けては、「総合評価方式の導入を促進してほしい。国が導入してもその対象となるのは規模の大きな限られた業者だけだ」「予定価格、最低制限価格などの事前公表はやめてもらいたい。積算能力を持った企業だけが入札に参加できる仕組みをつくってほしい」などと、地方公共団体に入札制度の改善を求める意見が多かった。
 レポートでは、公共事業への依存度が高い建設業者の倒産の典型的な事例として、受注の減少だけでなく、採算割れ受注が負債を増やして傷口を広げてしまうケースを挙げ、結果として関係者や地域により大きな損害を与えてしまうことを問題として指摘した。
 このような認識を踏まえ、「これまで建設業を営んできた者の一定の部分の『退出』は避けられなくなっている」と強調。そのダメージを緩和するための手段として、「退出」する業者が雇用する従業員の再雇用をあっせんする仕組みをつくり、受入企業を入札で特段に優遇することなどが考えられるとした。
 結論としてレポートは「すべてを市場任せにするのではなく、誘導とソフトランディングの方策を講じることにより、市場メカニズムが本来想定している望ましい供給者の選別という結果に導いていくことが必要」などと提言している。

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私の知り合いの業者も低入札で落札された物件を「自分の会社の置場の前だから」と言って原価割れしてでも下請けするらしいです。

私は「商売の原理原則にそぐわない事はしない方がいいのでは」と言ったのですが、意地だけで請負うみたいです。

それに「退出」するにも今の景気状況では、受け入れる業種・業者もないのでは?

机上だけで物事を考える人たちは、本当に?ですね。

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