抱っこ布、危険抱える 転落など国内で64件、輸入元が自主回収

米国やカナダでベビースリング(抱っこ布)による乳児の窒息死事故が相次ぎ、両国が注意喚起などに今月乗り出した問題を受け、国民生活センターは27日までに、国内でも過去10年間に転落による乳児の頭蓋(ずがい)内損傷など64件の事故報告があったとして注意を呼びかけた。死亡事故は米国、カナダで過去20年に計16件あったが、国内では確認されなかった。

 同センターのまとめでは、1999年4月から今年3月15日時点までの間、国内の64件の事故によるけが人は0歳児を中心に55人となった。

 スリングなどを利用中に滑り落ちて頭蓋内損傷の重傷を負った0歳の男児1人のほか、0歳の女児が頭の骨を折るなど2人が骨折。最多は軽傷の打撲や擦り傷の40件で、脱臼1件などのほか、子守帯でおんぶ中に0歳児が顔を密着させ窒息しそうになったケースも1件あった。

 米国では、消費者製品安全委員会が生後4カ月未満の乳児について、スリングの布が鼻や口をふさいでしまう危険性と、利用中に乳児があごを胸につけるように丸まって気道を狭めてしまう危険性を指摘。カナダでは保健省が、保護者が転んだはずみの転落や、製品の脇や足の開いた部分から滑り落ちることなどに注意を呼びかけている。

 国民生活センターは「赤ちゃんの顔が見えるようにして、気道をふさぐ状態にならないよう注意を。首が据わるまでは背当てや頭当てがあるものを選び、使う際は落下防止の調節具を正しく調節するように」としている。

 この問題で、米国で3件の死亡事故があった米インファンティーノ社が米国、カナダで製品の自主回収を開始。国内の輸入・販売元のルミカ(福岡県古賀市)は26日、2007年10月以降に主に通信販売した「スリングライダー」3736個を対象に、自主回収を発表した。連絡先は電話03・5569・6080。

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