【大阪国際女子マラソン】(2)小崎まり 15年目の節目、尽きぬ冒険心

この春で社会人15年目を迎える34歳。アスリートの常識でいえば、すでにピークは過ぎている年齢だ。だが、こと小崎に関しては当てはまらない。「筋肉痛は今でも、走ったその日にくるんです。逆にショック」。あっけらかんと笑った。

 2003年大阪で初マラソン。05、07年も地元の浪速路を走り、すべて2時間23~24分台でまとめた。満足のいく状態で出場できたためしが一度もないのに、である。

 03年は足の指を痛め、走るトレーニングは1日置き。2度目のマラソンは貧血気味で練習量が足らず、3年前は原因不明の知覚過敏が後頭部を襲い、レース直前は眠るのも一苦労だった。

 「もうちょっとできるんやろうなという余白が、自分の中にある」。根拠のない自信ではない。「ほかの選手が言うような不安がないんです。昔はできていた練習が、年を取ってこなせなくなった、とか。私は完璧(かんぺき)にできたことがないから」

 節目の年を迎えるにあたり、小崎はある“冒険”を試みるつもりだ。春はトラックレースを転戦するのが従来の流れ。それを、ガラッと変える。大阪での走り次第ではトラックを封印し、続けざまの海外マラソンも視野に入れている。

 「30キロですら、1年近く走っていない。トラックを走る土台を一から作り直そうと思った」。昨年は日本選手権の1万メートルで4位、5000メートルで5位と健在ぶりを見せつけたが、最後の42・195キロとなった07年大阪世界選手権から2年以上が経過。振り返れば、距離を踏む練習は久しく手つかずだった。

 マラソン練習を始めて1カ月あまり。宮崎での40キロ走は「ペースは同じぐらいでも、以前より楽に感じた。私なりに、安定して練習ができるようになっている」。加齢による衰えを感じない理由は、そこにもある。

 昨秋、転倒した際に痛めた左ひざは万全でなくとも、例年になく体調がいいのは救いだ。

 「いまの状態でどれだけ走れるのか楽しみ。たとえ失敗しても経験になるし、データとして今後に生かせますからね」

 34歳の冒険心は尽きない。(細井伸彦)

 おざき・まり 大阪短大からノーリツ。34歳。自己記録は2時間23分30秒。162センチ、46キロ。大阪府出身。

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