再発防止策 強化へ

●運転士適性を再確認

 豊橋市や豊川市など東三河地方を走る豊鉄バス(本社・豊橋市)の路線バスによる事故が頻発している。22日にも人身事故があり、14日からの9日間だけで人身・物損事故は5件になった。今年に入り事故の発生が目立っていただけに、同社は再発防止に向けた取り組みをさらに強化することを決めた。(岡田匠)

 同社や豊橋署によると、発車したバスで乗客が転倒し、負傷した22日と類似の事故は14日にも起きていた。また19日には豊橋市内で回送中のバスが駐車場に入ろうと左折した際、自転車の男性(38)をはね、軽傷を負わせる事故もあった。
 豊鉄バスでは2月に死亡事故を起こしており、中部運輸局が9月、バス2台を30日間使用停止とする行政処分を出していた。豊橋署によると、今年に入っての同社のバスが関係する事故は、「もらい事故」も含めて12件になる。
 同社は、これまで事故防止策として路線バス93台を含む全車両に事故の映像を録画できるドライブレコーダーを設置。運転士を集めた会議で、録画した事故映像などを見ながら事故の回避策を話し合っていた。今年10月からは、1日に72人の運転士で分担していた路線運行を3人増やし、負担を減らした。
 しかしそれでも12月になって事故が多発した。同社の戸田昌裕・運輸課長は「事故が続く原因は、運転士の不注意としか言いようがない。時間通りにバスを走らせたいという、あせりがあるのかもしれない」と釈明する。
 新たな再発防止策として、全運転士180人が入社時や入社3年目などに受けた適性検査を調べ直し、個々の運転士の特性を再確認する。その上で、それぞれの運転上の注意点などを乗車前の点呼時、声に出させて、意識させるようにする。また事故の多発地点や危険場所を示した地図「ヒヤリ・ハットマップ」を、乗車前のすべての運転士に確認させ、注意を促すという。同社の東田昭夫常務は「安全運転を徹底させ、事故撲滅に全力で取り組みたい」と話している。
 一方、中部運輸局の担当者も「(発生件数は)他のバス会社に比べても突出している。会社全体で安全対策がきちんと確立されているのか、指導を強化していきたい」と話している。

■豊鉄バスの主な事故(2009年)

事故があった月日     事故の内容

2月26日   バス停から発車直後、路上にいた女性をはね、女性が死亡
5月23日   信号待ちの乗用車に追突。バスの乗客2人と乗用車の女性が負傷
9月15日   回送中のバスが軽乗用車に追突。軽乗用車の男性が負傷
12月14日  乗客の男性が座る前にバスが発車。男性が転倒し負傷
12月19日  回送中のバスが自転車の男性をはね、男性が負傷
12月22日  乗客の女性が座る前にバスが発車。女性が転倒し負傷

豊橋署調べ

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